筋を通し抜くということ
去年の日記でも書いたんだけど、ことしもやっぱしネタにしたい。
1971年10月25日は、アルバニア決議によって、台湾政府が国連から追放された日です(実際には追放される前に、自ら脱退することになりましたが)。日本は大陸政府を受入れつつもアジアの現実を踏まえて、台湾政府が何とか国連内で留まれるように、一部の国々とともに活動していた(国連総会での演説[外務省ホームページより])のですが、多くの国々の不理解や蒋介石率いる国民党政府自身の反抗大陸・漢賊不両立という考えもあり、結果的に日本の主張は通らずいまのような状況になります。
決議直後である10月26日の衆議院本会議における緊急質問で、台湾政府を守ろうとした日本政府の行動に対して、当時の野党各党からは
「中華人民共和国の歴史的な勝利」(社会党)
「日米両政府の妨害工作が全く国際政治の現実にそぐわない」(公明党)
「日中正常化の道に新たな障害をつくった」(民社党)
と批判されました。
でも自分は、その最後で福田赳夫外務大臣がした答弁は、忘れたくないと思ってます。
いろいろの御批判もありましょう。また、この決議案には敗れました、しかし、敗れたりといえども、私は、わが日本国は国際社会において信義を守り通した、(拍手)また、筋を通し抜いた、このことにつきましては、国民各位にぜひとも誇りを持っていただきたいのだということを申し上げまして、お答えといたします。(「衆議院会議録情報」より)
日本はアジアの一員であり、アジアにどんな緊急事態が起こるかということは、日本にとって無視できない大問題です。ヨーロッパみたいに平然としてはいられません。台湾が中華民国であるかは別の問題(#「台湾はそもそも、いかなる名目の中国でもなく、台湾でしかありえない」と言ってほしいけど、経過的には中華民国ということを受入れざるを得ない)としてありますが、少なくとも中華人民共和国とは別の存在です。
誰からどう言われようと、大臣が自ら「敗れました」という結果になることであろうと、その時代において日本が「やらなければならないこと」・「言わなければいけないこと」を念頭に持っていてくれた、かつての人たちに感謝したいものです。また、いま物を言える立場にある人たちには、意思を同じくする国と連帯して、大国の行動を公然と批判した、この国連演説のように、その意見を強く発信してほしいなと思います。日本はまだ弱い国です。何も言わなければ負けてしまうのです。
(2013.10.25追記)
国連での演説について、外務省のホームページ内容が変わっていたようでリンクしていなかったので、リンク先を整えました。
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コメント
いい話です。知らなかったのが恥ずかしい。
投稿: カル | 2008年10月26日 (日) 04時52分
<カルさん>
恐縮です。
投稿: ちゃいにーず | 2008年10月26日 (日) 08時51分