噺家が国会で、国鉄に物申していたころ
参議院の議事録を見ていたら、このようなことが書かれていました。
期待を一身に背負ってこれから質問さしていただきます。
落語家の立川談志がかつて参議院議員だったことは知っていましたが、運輸委員会に属していたことは知りませんでした。
1976(昭和51)年10月28日の議事録によれば、国鉄の諸問題について質問していました。
乗客マナーのことについては「うるさいくらいに周知しろ」とか「右翼を見習え」という旨のことを交じえて質問しています。
車中で足を組んでいるのも直せないで、何が国鉄再建ができますか
みたいな感じ。
マナーが悪いのは、必ずしも鉄道事業者のせいではないと思いますが、注意するとすればそこしかないのかなぁ。乗客の無言の圧力が効けばいいのですけど・・・。
落語家的な視点として、鈴々舎馬風(#たぶん先代のことでしょう)の言葉として、
値上げで赤字を埋めるならだれだってできる。政治家なんざあ要らねえ。埋まらない、また上げる、埋まらない。しまいにどうなる。金だけ取って電車へ乗せないと言うんですよね。(笑声)
なんて言っていたり、
逃げるに逃げられないというのが国鉄再建対策要綱のような気がするんですがね
または、
営業面で国鉄の直面している問題は、累積赤字の問題を除きまして三つあると、私はこう思う。一つは地方の赤字線ですね。もう一つが貨物の問題、もう一つが運賃の法定制度の問題です。
と、自分たちが提供する商品価格を自分たちで決定できない(*)という、当時の国鉄経営の最大弱点(自主性を持たせてもらえないこと)について、ツボを突いていたりしますし、
国鉄を、大臣ね、総裁ね、三つに分けちゃうんですよ。一つが幹線旅客公社、これはどうやらやっていけると思うんだ。もう一つが貨物運輸公社、それから地方交通公社と、こうすると、もうかっているのと損しているものがはっきりわかってくるわけです。
なんて提案もしています。
国鉄常務理事だった田口通夫は貨物問題について、
運賃制度が非常に硬直化しておりますので、これを弾力的に活用いたしまして、できるだけの輸送需要を持っていきたいというふうに考えております
また、国鉄総裁だった高木文雄からは、
地方から言えば道路もあった方がいいし、鉄道もあった方がいいということになってしまうわけでございます。
という、経営当事者にとって「やるせない」という、正直な答弁を引き出しています。
この議事録でイチバン秀逸なのは、国鉄の赤字傾向の中で鉄道弘済会が事業拡大していることについて質問した際に、石田運輸大臣の答弁した、
大家さんはいまいなくなっちゃった。
でした。タイミングよ過ぎだって。狙った質問だったのかな(笑)?
タレント議員はとかく批判されがちですが、こういう
庶民が何を考えているか、何を思っているか、何を忌み、何を憂え、何を喜びを感じているかという同じサイクルで生活してないともたないんですよ、これ。そのもたないというこの一点には自負を持っている代表の議員が、たまたま大衆芸能から出てきた議員が言うんですから
なんて人がおってもいいのだと思います。自分と同じ考えの人ばっかしだったら、そんなのは代表じゃないしね。
ほかに「学生が学割を、勉学に資するためでなく、自分の遊びのために使っている」ことや、万世橋にあった博物館のことも指摘していたりして、なかなかやなと思いました。
当時の国鉄だけに限りませんが、赤字を生む要因について、(必要性があるならば)「面倒を見るべきところは、税金でバックアップする」しくみがもっと早くできていれば、そういう視線の人が国民の代表でいてくれたら、国鉄はあんなに苦しまなかったと思います。
もっともぼくの地元では、国鉄時代よしかサービス水準が上がってしまったので、子どものころ「国鉄がなくなるなんてヤダ」と思っていたことを、微妙な気持ちで思い返すことがありますけど(^^;)。
(*):後に法定制ではなくなりましたが、すでに時遅かったのかもしれません。
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