大阪市営交通民営化基本方針
大阪市交通局のホームページを見ていたら、このような記事がありました。
大阪市交通局では、このたび、「地下鉄事業民営化基本方針(素案)」及び「バス事業民営化基本方針(素案)」をそれぞれ策定しました。
素案のPDFファイルは地下鉄35ページ・市バス27ページに渡っておりますが、これから日本の輸送需要は縮小に向かうのがわかっていながら、あえて民営化しないといけない理由ってどこにあるのかなぁという印象を持ちました。
これから数十年の輸送需要を思うと、自力で移動できない移動者層の輸送手段を「持てる立場の人が負担する」という思想が、もっともっと広まらなければ社会が成り立たない気がするんですよね。予感でしかないのがもどかしいけど。
大阪市交通局が自ら民営化を言いだすこと。それ自体は勇気があることなんだけど、決して自分から言いたくて言ったことには思えないのが、言いぶりのはしばしに見えてきてサラリーマンのひとりとして同情します。
地下鉄事業で累積欠損を解消した(地下鉄5ページ)んだったら、それは経営手法としてほめられこそすれけなされることがあってはいけないはずだし、現行スキームは維持できない(地下鉄7ページ)のは日本の人口動態上で避けえないんだから現経営主体の責任範囲じゃないし、ビジネスチャンスを拡大(9ページ)なんてのは一私企業に独占させちゃいけないんじゃないのと感じます。
地下鉄の運賃(*)だって「値下げできる余力がある(地下鉄15ページ)なら付加価値の増大に投資してほしい」し、民営バス事業者と比べ生産性が(市バス6ページ)ってのも、そもそも民間会社が一から築いてきたものなら話しは別だけど、みんなの税金で数十年かけて築いてきたはずのものが、あるときから民間会社の利益にしてまおうって感覚が、どうしても解せないんのよのん。
以前にも書いたのですが、結局は強者の論理でものごとが動くのって、(少なくともぼくの)気分がよくないです。
現場で働く人の意見がより反映される、弱者の意見がより反映される、弱者の意見がより反映されるって社会って、この世に実現しないんですかね。
結果がよくなるかどうかは怪しいものです。しかし、仮に結果が強者の利益バンザイになるのだとしても、結果として不利益をこうむる立場をどれだけ汲み取っているのかは、主務の範囲のあることなので見ていきたいと思います。
大阪で成功と判断されたら、よそにも影響があるよってにのん。
(*):名古屋や大阪の市営交通で条例上で「料金」するものですが、電車等に乗車する際の最低限必要とする対価という意味で、この記事では運賃と表記します。
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コメント
>あえて民営化しないといけない理由
橋下市長の持論である「役所にも民間感覚が必要だ」の一環ですね。地下鉄も民営化すると効率的になるはずだという信念があるようです。
橋下市長はことあるごとに(大阪市職員の給与は高すぎるなど)「民間感覚」を持ちだしますが、よく考えると不快です。「公人」でなければできないことも多いですし。自治体のシステムが民間企業よりも効率などが劣っているなどとは一概に言えないと思います。
大阪市はゴミ収集は直営ですが、多くの自治体ではゴミ収集は委託業務です。地下鉄や市バスをゴム収集などのように業務委託するのは難しいという事情もあります。
投稿: オフサイド | 2012年12月26日 (水) 22時56分
<オフサイドさん>
>効率などが劣っているなどとは一概に言えないと
税金を思いっきり投入できる公営だからこそ、利用者も思いっきり意見が言えるんと思うんですけどね。
民営化が進展すればするほど、決められたんだったらしょうがないよねってなりそうです。
あんまし言い過ぎると、リニアみたいに「言われるくらいなら自分で全部出す」となる可能性もありますが、通勤通学主体の路線じゃ、さして儲かるわけでもないですしね。
投稿: ちゃいにーず | 2013年1月 2日 (水) 23時52分